投資テーマは、IOT、フィンテック、AI、ビッグデータ

投資テーマとしては、IOT、フィンテック、AI、ビッグデータ関連企業などのM&Aに注目が集まった。特に話題になったのは、上記でも触れた、ソフトバンクのARM買収である。金額は約3.3兆円(240億ポンド)であり、日本企業による海外企業のM&Aとしては日本たばこ産業が06年に英国タバコ製造大手のギャラハーを買収した際の1兆7300億円を上回り過去最大であった。アームは1990年設立の半導体設計に特化した企業であり、売上高約1,335億円、近年はスマートフォン向けCPUで世界で90%超のシェアを誇っている。ソフトバンクは通信事業が主体の企業であるが、将来IOTが中核事業になることを見込み、社運を懸けて今回のM&Aに踏み切った。

近い将来IOTによってあらゆるモノやデータがインターネットと接続され、ARM製のCPUがあらゆる製品に組み込まれ、インフラとなることによって、ソフトバンクの通信事業やコンテンツ事業との壮大なシナジーが見込まれる。

ここからは、2016年の象徴的なM&Aをいくつか紹介する。

(2)  フィンテック関連のM&A

事例(1)ペイデザイン&メタップスM&A概要

事例(1)ペイデザイン&メタップスM&A概要

事例(1)ペイデザイン&メタップスM&A概要

譲渡企業側のペイデザイン社は1999年創業の企業であり、EC・通販事業社向や店舗事業社向けのクレジットカード決済サービスを中心に、電子マネーや家賃の支払いなど、各種決済サービスを提供している企業である。一方でメタップスは個人事業主を主なターゲットとして決済プラットフォームSpikeというサービスを提供している。

メタップス側のニーズとしてはオンライン決済サービスの①シェア拡大②事業領域拡大という二つの目的があったものと考えられる。ペイデザインは創業17期目の老舗決済サービス事業者であり、オンラインサービスに加え、リアル店舗、家賃、電子マネーなど決済に関する幅広いサービスを提供している。この資本業務提携により、両社の決済事業における年間取扱高1,000億円を超える規模となり、総合的な決済プラットフォームとしてより幅広いサービスの提供が可能となった。

昨今のブームに乗じて様々な企業がフィンテック領域に参入しているが、薄利多売であるという性質上、一定の規模が求められる。規模拡大には投資が必要となるが、ベンチャー企業が0から始めるには、資金調達が容易であるとはいえ難易度が高い。従ってメタップスのような相応の規模感を誇るフィンテック企業が、同業を譲受けシェアを拡大させていくことが見込まれる。

また、金融機関と技術力のあるベンチャー企業との資本業務提携も進むだろう。実際にメタップスはみずほフィナンシャルグループとの業務提携を進めている。

2017年もフィンテック関連企業のM&Aは増えるものと予想する。

 

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AUTHOR PROFILE

業界再編部長 副部長
IT・ソフトウエア業界責任者

瀬谷 祐介

大手金融機関を経て、日本M&Aセンターに入社。新設された業界再編部において調剤薬局並びにIT業界のM&Aアドバイザーとして50件以上のM&A成約実績がある。現在は、IT業界のM&A責任者として、数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。